『はたらく』とはどういうことでしょう?

『はたらく』は漢字で『働く』と書きます。これは、人が重いものを動かす様子を文字にしたものだそうです。重いものを動かすことは大変で辛い作業です。はたらくというのは辛いことなのです。では、なぜはたらくのでしょうか?

はたらく理由。

人は生活のためにはたらきます。
多くの場合は、お金を得るためにはたらきます。
そのお金は食べ物を買ったり、住むところを用意するために必要です。たくさんお金を稼げば美味しいものが食べられたり、いい家に住むことができます。
食べ物や家以外のものも手に入れるためにはお金が必要な場合が多く、生きるために最低限必要になるのがお金です。

生きるためにお金は本当に必要なのでしょうか?お金のためにはたらくのは馬鹿馬鹿しいという意見もあるでしょう。
では、自然に全てを委ね、山や海から食べ物をもらい、川の水を飲み、洞窟に寝泊まりしながら生きるとします。
お金は必要ないかも知れませんが、はたらくことからは逃げられないでしょう。自然から食べ物を得ることは非常に大変です。
一食を準備するのにとてつもない時間がかかることが予想されます。

『お金』という媒体にはたらくことを強要されているように見えますが、実際は『お金』を使うことで人は生活に必要な作業を分担し、効率的に生きることができるようになっています。
こういった生きるためにはたらくことが、はたらくことの最もシンプルな理由になっているのは間違いないでしょう。

文化の発展により複雑化した『はたらく』

上記のように、『はたらく=生きる』ということが本来のはたらくということでした。しかし、文化の発展により『はたらく=生きる』ということが絶対とは言えなくなりました。狩りなどを主体に生きていた頃、人間は働かなければ一週間も生きていけなかったと思います。
しかし、『お金』という概念が生まれたことで『はたらく=生きる』というルールは絶対ではなくなりました。そのルールが絶対ではなくなったことで、人間は『はたらく』ことの意味を求めるようになりました。楽しさ・やりがい・収入など仕事の内容や条件が大きな意味を持つようになり、それが人の気持ちに大きな影響を及ぼすようになりました。
その結果、心や体にトラブルを抱えてしまうケースも増えてしまいました。こういったことからはたらくということそのものにマイナスのイメージを持つ人も増えてしまったのではないかと思います。

では、複雑になりマイナスのイメージまで持たれてしまうはたらくことを楽しむにはどうしたらいいのでしょうか

『仕事が楽しい』とは思わなくていい

「きつい仕事を頑張れ!」という意味ではありません。『働く』という漢字の成り立ちが示す通り、働くということは辛く大変なものです。
どんな仕事でもはたらくことは厳しいものなのです。それを楽しいと思うことは無理があります。楽しめなくて当然なんです。
適度な辛さの中に小さな楽しみや満足感を発見していくことではたらくことが楽しくなることがあります。

近年の人口減少による人材不足のため、『仕事が辛くない楽しいもの』という印象を付ける求人情報のCMなどを見かけることが増えて来ました。
これは非常に危険な誘導だと思います。楽しいものという印象で挑めば辛さを乗り越えるこえることが難しくなり、結果自分を追い詰める要因にもなりかねません。
辛い中にある楽しさを見つけた方が精神衛生上も確実にいいと思います。
もちろん『辛さ』を耐えすぎてはいけません。
自分を逃してあげることが重要な場面も当然あります。
仕事の中の楽しみを見つけ、自分にとっての『はたらく意味』を見つけることで、はたらくことが『楽』になるかもしれません。

文 柳田隆間
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